先日、茶臼山高原道路の入り口にある『道の駅』の近く、名倉地区の古民家を訪問いたしました。
聞き取りの中で、和紙に墨で書かれた達筆な上棟時の古文書が出てまいりました。そこに江戸時代の弘化の年号がありました。
あとで調べてみますと弘化は四年間で終わっており、弘化二年は1845年になります。逆算してみると169年前に建てられた古民家ということになります。

 

先日、わざわざ稲武町よりお子様と共にご家族で来て頂き、この古民家の相談を受けました。

訪問してみると私の想像以上に質の良い古民家でありました。
しかし、玄関部分の昔の広い土間等々は板の間に、天井や壁は新建材で数年前にリフォームされておりました。

打ち合わせ中には、こたつから何とも良い昔懐かしい香りがし、よく見ると炭の掘りこたつです。
私の子供時代を思い出すこの香りと80歳前後のご夫婦との対話が、子供の頃の実家への里帰りで祖父と祖母に可愛がられた思い出が重なり、仕事を忘れて癒しの時間をすごせた事に感謝です。

多くの古民家の調査で、住んでいる家と空き家になっている家との違いは言葉では言い表せない程、目には見えない差があります。
古くとも住み続け、魂を入れて手入れしている古民家はそれだけで価値があります。
また人の存在は、存在のみで第三者に暖かさや安らぎを持ち与える価値があります。
こんな、癒しと安らぎを与えてくれる田園風景の中、美しい古民家を是非後世の世代の子供達に文化として残すべきであると強く心に刻みながら、下界とは違い春まだ遠いこの山間の里を後に致しました。