先日より、浜松市雄踏町にて古民家の二階部分の小屋組の一部分を利用した平屋建ての資材置き場に変更移築する工事と、同じ敷地に建つ土蔵のお蔵を事務所にリフォームする工事に着手いたしました。

昔の街道沿いの面影を残し、古民家が点在する、この趣のある街並みのなかに、今回この土蔵が機能を一新し、後世に生き残る事が出来た意義の大きさに私自身嬉しく思っております。

 この様に、今の技術では再築が非常に困難な本格的な希少価値の土蔵建築(壁と屋根など重要な物を火災から守るため分厚い土壁で囲い造った建物)を今壊してしまうと二度と手にすることが出来ない現状を含め、貴重な存在である事実を理解して頂くために毎回オーナーの方にはわかりやすく説明しております。

特に、土と漆喰で造った鏝絵の装飾が入った分厚い扉は、金物等々現状では職人がいないため、新しく造ることは不可能に近いと思われます。

そしてこれから半世紀ほど過ぎれば、一般社会生活から(歴史的観光地を除き)古民家も土蔵も殆んどこの世から消え失せてしまうと思われます。

悲しいかなこの危機的状況がほとんど知られていないのが現状であります。


無いもの欲しさではありませんが、私共の目から見ると古民家に対する調査や指導が行政や民間でも一切行われておりません。

但し、日本の住文化の源である古民家を愛する私共、一般社団法人愛知県古民家再生協会の会員らが、細々と保存再生活動を行っているのが現状であります。

また聞くところによりますと、ドイツではこの様な歴史的建築物は私有のものであれ、無断で壊すことは罪に値する価値観が一般市民に浸透しているとの事であります。

日本の住宅の発祥の文化としてまだまだ身近に今存在し残る貴重な古民家郡が消え失せる前に、目を向ける時期だと強く思う今日この頃であります。