先日、現在設楽町に計画中のダムに沈む運命にある古民家の解体を見学致しました。

施主様も加え、解体現場の会社責任者より、急遽私の下に何とかこの古民家の材を一本でも生かして欲しいとの相談が舞い込みました。

80年ほどの古民家、先代はこの古民家の前を通る伊那街道の旅人を対象に旅籠を営んでいたとの事。

このダム計画で今回息子さんのいる見知らぬ名古屋に新居を設け、移転するとの事。

またこの谷間の集落もいずれダム湖の底に沈んで無くなり消滅の運命にある事。 

 

 

 

 

一つの歴史が、この地図上より永遠に葬り去られる事実を聞かされながら、引越し準備に慌ただしいこの古民家を先日調査に訪れました。

そして今回解体にあたり、二台のトラックで助けられるだけの古材を取りに現地に出向きました。

囲炉裏の煙にあぶり出された梁の古材を選び、二台のトラックに詰め込み、作業場の土場まで運びます。

運び残された古材達の悲痛の叫び声を背に感じながら現地を離れました。