二川宿本陣近くで只今お蔵(土蔵)付の住宅リフォームと増築が行われています。

このお宅は輸入住宅などでよく使われるツーバイフォー(2×4)工法で建てた柱の無い洋風の家でありました。
しかし今回、この玄関にお蔵(土蔵)をしつらえた二川宿にふさわしい建物が出来そうであります。

帰り道、今まで近くて遠い存在のなかなか寄る事の出来なかった二川宿本陣資料館を
急に尋ねてみたくなり、立ち寄ることに致しました。
早速、資料館の駐車場より眺めるお蔵(土蔵)郡の複雑に交差した美しい日本的な瓦屋根と海鼠壁(なまこ壁)が出迎えてくれました。

当日は、平日の朝早い時間帯で訪れている方もほとんど無く、本陣内部に上がりこみ各部屋をゆっくりと一人
気が向くままに散策できました。
4、5畳~6畳ほどの坪庭が随所にあり、見事な趣をかもしだしておりました。
この感覚は、日本の住宅や店舗設計に欠かせない美意識の基本的なモジュール寸法なのかと現地に立ち、感じました。

また土間に「おくど」が再現してあり、この「おくど」は当時煙突がまだ無く、
香ばしい煙の香りが朝昼晩と宿場町や各宿の部屋中に漂ったはずであります。

私のこよなく愛する飛騨の福地温泉にある古民家の宿のご主人は、玄関囲炉裏に常に火を絶やさず、
いつ訪問しても部屋中香ばしい薪の煙の香りで旅人を迎えています。
私は最初訪れた時に、五感すべてに訴えるこの宿に日本の民家の原風景を全身で強く感じ取りました。

やはり古民家は使いながら保存することにこそ価値があり、
意味あるものであると、この資料館に立ち再認識したひと時でありました。