依頼を受けてから工事着工まで時間がなく、移築の為の準備がほとんど取れず、泣く泣く解体に踏み切ることにいたしました。
もちろん部材として貴重な物は取れるだけ取りはずしながらも、終始時間との戦いでありました。
しかし、表玄関のこの冠木門だけは解体処分するには忍び難く、大工の手で移築可能な解体をして保管しておりました。
当然古瓦も全て葺き直しが出来るように一枚一枚丁寧に取り外しました。
先日、解体予定の築100年前後の古民家の木塀を所有者の施主様にお願いをし、この名古屋の冠木門の左右の相手役として移築用に譲って頂きました。
そして、今回縁あってめでたく私の自宅の玄関に移築する事になりました。
実のところ、いろいろと悩みました。

古民家の再利用を実際に見て頂く事で、古民家の再生に迷っておられる方に安心して取り組んでいただいとの想いで、今回のこの冠木門の移築計画を決定いたしました。
このようにひと手間かけて、未来の子ども達のために、日本の住文化として古民家を残すことも使命と考え、私自身の人生の残された時間を完全燃焼し尽くしてみたいものであります。