先月のことになります。

深い雪に埋もれる前に越後(新潟県)の古民家を見に、知人の地元大工さんの案内で山奥にある古民家がまだ多く残る山里を訪れました。

先ずは、現在関東圏に移築予定の古民家の移築解体現場を見学。

改めて実際に現地に出向き、私の想像していた越後の古民家の風景よりもその数の多さに実はビックリ致しました。

まだまだこんなに多く残っているのだ。これが私の第一印象でありました。

しかし落ち着いて周りを観察すると、兎も角多くの古民家が空き家であることが目立ちます。

次にその空き家の古民家のほとんどが、長いこと無人で放置されていたと思われ、家の至る所に傷みが見受けられます。

また雪深い越後の民家の造り方は、温暖なこの三河地方とはまるっきり違っており、気候風土の違いが家造りにこれ程影響を与えるものかと現地に立って改めて考えさせられました。

当然、想像を絶する積雪に耐える為に、木材の骨組みが三河地方とは比較にならないほど大きく太く、尚且つ針葉樹より堅木たとえばケヤキや栗の木など広葉樹系の木材が多く使われていることも特徴のひとつであります。

そしてそれらの木々がカマドや囲炉裏の煙で燻され、同時に虫除け防虫防腐となり、重い雪と強い風に長い年月耐え忍んで古民家を支え、現在に至る事実に建築に携わる者として当時の匠達や古材に敬意を払わずにはいられません。

この様に古民家は地元三河のみでは無く、この地方より気候風土の厳しい処の古民家も含めて、日本の古民家という目線で今後広範囲に活動してゆくべきであると感じました。

現地をこの足で訪ね、この目で見、五感で感じたすべて、まだまだ自身の知らない古民家の世界が数多く存在するこの事実を認めなければ成らぬ事。今回発見したこの幸運に感謝です。

 

まだまだ今なら朽ち果てる前の貴重な日本の原風景、越後の古民家を辛うじて救うことが出来るギリギリの限界ではと思います

この勢いを止める事無く、ひとつでも多くの古民家を救うべき活動を持続していきたいものだと想い、荒れ狂う日本海を横目に往復1000キロの帰路につきました。