先日、古民家鑑定に西尾市のお寺さんに行ってまいりました。今回の依頼者は私共と同業の設計事務所の方からありました。

この設計事務所の担当者(息子さん)が京都で建築を学ばれ京都をこよなく愛しており、彼も古民家への想いが強く、今回の依頼に至った経緯があります。

このお寺さん、今まで長いこと住職不在が続きましたが、最近このお寺に新しく住職が決まったそうです。

本堂とその脇に立つ過去の檀家達の想いが詰まった由緒ある古民家。


本堂を残し、その古民家を解体して新しく建て替える考えを、何とか再生修復に導く手だてが無いものかと試行錯誤し、私ども一般社団法人 愛知県古民家再生協会へ辿り着いたとの事であります。

確かに長い間生活していなかったため、至る所に傷みが出ておりましたが、リフォームすれば十分使用可能であります。

見ればさすがお寺、客間の座敷に二間続きの床の間、床脇は筆返しの付いた違い棚がある見事なものでした。

また縁側まで長押(なげし、和室の客間などに使われる鴨居の上部にある柱間を水平に繋ぐ装飾的な材)が取り付けてあり、当時のお寺の権威が伺われます。

大きな建物なので必要に応じて減築も考え、今の時代の生活に合う様にコンパクトにまとめ上げ、耐震も考慮すれば歴史が一杯詰まった建物になります。

このお寺さんの目には見えない供養的な付加価値も同時に後世に伝える事が出来、いつの時代か必ずこの古民家がこの世に残り得たことに感謝の声が上がることを信じております。